どうも!Webディレクターのマイゴーです。
事業会社でWebディレクターの経験を積んでいる者です。
本日は制作会社、事業会社のWebディレクターって何が違うのかについてお話ししようと思います。
互いにメリットデメリットが存在し、それによって向き不向きがあります。
自分の状態と照らし合わせながらどっちのWebディレクターが合うかを検討してもらえればと思います。
目次
事業会社のWebディレクターって?
まずは事業会社のWebディレクターについて解説します。
事業会社のWebディレクターとは社内にWebを用いた収益モデルがあり、それを管理、成長促進させるポジションです。
楽天株式会社のECビジネスを運営するのは事業会社のWebディレクターです。
SUUMOを運営するのは事業会社のWebディレクターです。
イメージできますでしょうか。皆さんが普段利用するWebサイトを運営するのは事業会社のWebディレクターです。
彼らは日夜ユーザー数を増やしたり、いつも安定してサイトを使えるように管理したり、新しいビジネスを作るために議論したりしています。
制作会社のWebディレクターって?
一方で制作会社のWebディレクターって何でしょうか。
制作会社のWebディレクターとはクライアントの依頼を受けてWeb制作をおこなう仕事です。
「ああああー、うちの店(飲食店)のWebサイト作りてぇなぁぁぁ」
「うむ。うちの会社もWeb展開するか。人いないけど」
こんな時に制作会社のWebディレクターが登場します。クライアントの要望等を伺いつつ希望に沿ったWebサイトを納期通りに制作します。
事業会社のWebディレクターと制作会社のWebディレクターが得られるスキルセット
同じWebディレクターでありながら事業会社のWebディレクターと制作会社のWebディレクターが得られるスキルは全くと言ってよいほど違います。
どちらのスキルが良いというわけではなく自分の夢や目標に対してどちらが必要なのかを考えつつみてもらえればと思います。
対人間関係能力
事業会社のWebディレクターは自社の営業
制作会社のWebディレクターはクライアント
がWebサイトを運営、制作するためのビジネスパートナーです。
交渉スキル
事業会社のWebディレクター:★★☆☆☆
制作会社のWebディレクター:★★★★☆
交渉の内容が何?って話はありますが自社にビジネスパートナーがいるのと社外の方がビジネスパートナーがいるのでは交渉スキルに差が出ます。やはり社外にビジネスパートナーがいる方が交渉が難しい傾向にあります。社内にいる事業会社のWebディレクターは同じ会社の社員ということもあり融通を効かせてくれたり事業を分かってくれる傾向があります。しかし社外にビジネスパートナーがいる制作会社のWebディレクターはある程度は言われたらやらなければならない関係性です。その背景を持ちつつ色々な交渉をするのは大変です。
説明スキル
事業会社のWebディレクター:★★★★☆
制作会社のWebディレクター:★★★☆☆
事業会社のWebディレクターは高度な説明を求められます。また常に営業がいるので説明する機会が多いです。「このページのここってどういう仕様?」「クライアントに説明できるような説明をしてほしい」「この月のACが増えたのはなぜ?」「このサービスのCVを増やしたいんだけど良い案ない?」というのは一例でシンプルに説明すれば良いものもあればクライアントの背景を理解した上で説明をしなければならないもの、説明相手が事業部長など状況状況に応じて説明の仕方を意識しなければなりません。
制作会社のWebディレクターは受け持つWebサイトに対して事業会社のWebディレクター程は深入りはしないので表面的な内容で説明すれば良い機会が多いです。Webサイトの仕組みがシンプルなものが多いのでゴリゴリに凝ったWebシステムの説明はなく、デザインの説明だったり設計のコンセプトだったり相手が理解しやすい内容が多いです。ただ、ビジネスサイドまでみるWebディレクターだったり凝ったシステムまで請け負うWebディレクターであれば難易度は跳ね上がります。
リーダーシップ
事業会社のWebディレクター:★★★★★
制作会社のWebディレクター:★★★☆☆
事業会社のWebディレクターである私が事業会社のWebディレクターばかりよく見せているとバイアスがかかっているように見えますが、フラットにやっているつもりです。
事業会社のWebディレクターは強いリーダーシップ力が必要です。その理由は制作会社のWebディレクターが扱うWebサイトよりも大規模なサイトだからです。そのため関わる人が多いです。そのサイトを運営するために何十人と関わっています。皆を同じ方向でモチベーション高く動かすのは労力を伴います。また、携わるサイトの規模が大きいため難しい判断を迫られることが多いです。そんな時でも周りが納得できるような決断力が必要です。これがIT部門で関わるリーダーシップです。他にも営業部門と携わる際には相手が事業部長や拠点長です。弱々しく優柔不断なWebディレクターだと仕事が進みません。目上の相手にも物怖じせずに関係性を壊さず物事を進めることを求められます。
制作会社のWebディレクターは事業会社のWebディレクターが扱うサイトより小規模なものが多いです。そのため1サイトに携わる方が小規模になることが多いです。しかしリーダーシップが求められないわけではありません。事業会社のWebディレクターよりも短納期で仕上げることが多いため、確率的にデスマーチが度々起きます。そんな時でもプログラマーやデザイナーたちを引っ張って仕上げていく必要があります。事業会社のWebディレクターとはまた違ったリーダーシップが必要です。
ヒアリング力
事業会社のWebディレクター:★★☆☆☆
制作会社のWebディレクター:★★★★★
事業会社のWebディレクターはケースバイケースですが優れたヒアリング力は必要ないように思えます。多くは事業部の営業が既に決めたものをWebディレクターに伝える事が多いからです。また、営業はお金をもらうお客様ではないのでヒヤリングする関係性ではないです。ディスカッション力は必要ですがヒヤリング力はイマイチになることが多いです。
制作会社のWebディレクターは高いヒヤリングが必要です。ふわっとした要望になっていたりそもそもクライアントがイメージできていないことが多いので限られた情報からさらなる情報を引き出したり提案していきます。また、ヒアリングが足りずにイメージとズレた納品をしてしまうと失敗です。かと言って何でもかんでも聞いていたら信頼関係をなくします。適切なヒアリングを適切なタイミングでする必要があり制作会社のWebディレクターの腕の分かれ目とも言えます。
動機付け(働きかけ力)
事業会社のWebディレクター:★★★★★
制作会社のWebディレクター:★★★★★
共に同じくらいのスキルを得られます。Webディレクターは専門スキルをもったメンバーたちを管理する立場にあります。その時に管理という意識をもってしまうと失敗します。あくまで自分は皆の土台になって支える意識を持ちメンバーには気持ちよく働いてもらうことが最大の成果に繋がります。ITの専門家たちはモチベーションが成果に影響しやすいので働きかけ力はかなり重要です。この能力が優れている人はどのWebサイトを受け持っても成功します。いかなるメンバーでも上手く指揮します。チームは楽しく働き、能力が高まります。また離職率の低いチームになります。
これらの能力は事業会社のWebディレクター、制作会社Webディレクターという括りでは分けることは出来ません。どちらにも同じくらい必要になる能力です。
専門能力
WebディレクターといえばITのスキルが身につかないと言われたりもします。実際はどうなんでしょう。そして事業会社のWebディレクターと制作会社のWebディレクターでは違うことはあるのでしょうか。
Webサービスへの理解
事業会社のWebディレクター:★★★☆☆
制作会社のWebディレクター:★★★☆☆
(フルスタックエンジニア :★★★★★)・・・比較対象
(デザイナー :★☆☆☆☆)・・・比較対象
事業会社のWebディレクター、制作会社のWebディレクター共にWebサービスへの理解度は高くなります。プログラマーのように具体的にどうプログラムすれば動くのか、どこにどのファイルが有るのかというラインまでは分かりませんがWebサービスの全体像を理解する力は誰よりも高いです。
Webサービス上の「出来ること、出来ないこと」「これはどういう仕組なのか」「裏でどういった処理がおこなわれているのか」などプログラマーと意思疎通するレベルには話すことが出来ます。
企画・設計
画面設計、サイト設計、要件定義、運用フロー、プロダクト思考
事業会社のWebディレクター:★★★★★
制作会社のWebディレクター:★★★☆☆
(フルスタックエンジニア :★☆☆☆☆)・・・比較対象
(デザイナー :☆☆☆☆☆)・・・比較対象
Webディレクターとして重要なスキルです。ここの精度が腕の分かれ目とも言えます。
事業会社のWebディレクターは基本的に1つのWebサイトを長く受け持ちます。そうなると色々とそのサイトや事業に詳しくなっていきます。サイトの仕様などのサイト事情、ユーザー像、ビジネスモデルやクライアントの状況、ステークホルダーなど全体像がつかめます。全体像を的確に捉えることが出来ると企画・設計能力が高まります。
制作会社のWebディレクターは会社や案件によりますが凝ったWebサイトではなくシンプルなWebサイトになりがちです。またプロジェクト単位なので1つのサイトを受け持つ期間が最初から存在します。そうなると事業会社のWebディレクターに比べて各スキルに深みを持たせることが難しいです。
ただ、事業会社のWebディレクターと違い色々なタイプ(EC、ポータル、コーポレート、キャンペーンなど)のWebサイトを作るため幅広く理解することが出来ます。
デザイン力
Webページデザイン、UXリサーチ・デザイン、バナー作成・文言、デザインコンセプト
事業会社のWebディレクター:★★☆☆☆
制作会社のWebディレクター:★★★☆☆
(フルスタックエンジニア :★★☆☆☆)・・・比較対象
(デザイナー :★★★★★)・・・比較対象
本来、事業会社のWebディレクターはデザインを意識しなければなりません。しかし、多くのWebディレクターはデザインに注力する時間がありません。基本的にはデザインチームに簡単な要望を伝えた後、デザイナーからラフと説明を受けそれを適用するために動く人が多いと思います。勿論、自分でデザインを引くことは出来ない方が多いです。
制作会社のWebディレクターはデザイン意識の高い方が多いです。キャンペーンページやコーポレートサイトなどデザイン重視のサイトを扱うことが多いからです。また、クライアントもデザインを意識します。そのため、デザインの知識を持ち合わせている方が多いです。
開発
フロント・バックエンド、インフラ、SQL、ノンプログラミング
事業会社のWebディレクター:★☆☆☆☆
制作会社のWebディレクター:☆☆☆☆☆
(フルスタックエンジニア :★★★★★)・・・比較対象
(デザイナー :★☆☆☆☆)・・・比較対象
Webディレクターの多くは眉をひそめたのではないでしょうか。Webディレクターはプログラミングができません。
※実際に書ける方はごめんなさい。傾向的には殆どプログラミングスキルはつかないと思います。
事業会社のWebディレクターに★1あるのは理由があります。事業会社のWebディレクターはデータ分析をして提案をすることが多々あります。その際に自社のDBから情報を吸い上げます。その時にSQLを用います。いちいち依頼するのが面倒くさいので自分でデータを抜けるように勉強する人が多いです。
プログラミングが出来ないことは大した問題にならないことが多いですが、問題はインフラ知識です。
事業会社のWebディレクター、制作会社のWebディレクター共にインフラの知識に弱い傾向があります。驚く話かもしれませんがサーバが何とかDBが何とかOSが何とか言語のバージョンとか知らない人…結構います。インフラチームや開発会社にお願いしてしまってそこの知識がすっぽり抜けている人が多いです。しかしこの知識は一定レベルで必要です。ランクアップを目指す場合はインフラ知識を身につけましょう
PM(プロジェクトマネジメント)スキル
予算管理、ベンダー選定・管理、スケジュール管理、コミュニケーションルール、ステークホルダー管理、リスク管理、品質管理
事業会社のWebディレクター:★★★★★
制作会社のWebディレクター:★★★☆☆
(フルスタックエンジニア :☆☆☆☆☆)・・・比較対象
(デザイナー :☆☆☆☆☆)・・・比較対象
Webディレクターとして一人前になるとPMポジションに任命されます。管理の幅が格段に広がります。
事業会社のWebディレクターは早いタイミングでアシスタントポジション等で経験を積むことが出来ます。また規模も大きいものがおおいため、より価値のある経験をすることが出来ます。ただ、★5としていますが全員が★5というわけではありません。★5になるのは相当大変です。
制作会社のWebディレクターは事業会社のWebディレクターと比較して関係者が限られ、規模も小さいことが多いです。また基本方針として短納期で数を回していくことが多いためPM規模になるような案件が限られます。ただ、事業会社のWebディレクターと違って色々な業種やタイプのサイトに携わります。腕のあるWebディレクターであればPM規模の案件が回ってくる確率も高いので色々な業種やタイプのPMをおこないます。幅広く対応できるPMになることが出来ます。
Webマーケティングスキル
競合調査、マーケティング戦略、グロースハック、SEO、SNS、デジタル広告、コンテンツマーケティング、執筆、LPO
事業会社のWebディレクター:★★★☆☆
制作会社のWebディレクター:★★★★☆
(フルスタックエンジニア :☆☆☆☆☆)・・・比較対象
(デザイナー :☆☆☆☆☆)・・・比較対象
事業会社のWebディレクターはWebマーケティングをそこそこ持ち合わせています。ただ、専門性はそこまで高くないことが多いです。それはマーケティングチームを抱えていることが多くそちらで専門的なことをしているからです。どちらかと言うと各項目に対する理解があり「何をしたい時に何を用いる」という知識を持っています。ただ、SEOに関しては関わる機会が多いため他の項目以上に知識を持っている人は多いです。
制作会社のWebディレクターは事業会社のWebディレクターよりも専門性は高いです。それはWebマーケティングの提案もすることで利益につながるため、知識として必要だからです。クライアントに提案する際もWeb制作だけでなくどう伸ばしていくのかを語る必要があります。その際に効果的なWebマーケティング手法を提案していきます。
最新の技術、サービスへの知見
事業会社のWebディレクター:★★★★☆
制作会社のWebディレクター:★☆☆☆☆
(フルスタックエンジニア :★★★★★)・・・比較対象
(デザイナー :★☆☆☆☆)・・・比較対象
事業会社は常に流行りのWebサービスを提供しなければなりません。多額のコストを投じて導入をおこないます。事業会社のWebディレクター最新の技術に触れる機会があり、その技術を知ることが出来ます。資本力のある事業会社ならではの特権と言えます。ただ、事業の特性上触れ合えない技術もあるので★-1です。
制作会社のWebディレクターはクライアントのコストに依存します。なので自発的にコストのかかる最新技術を導入することは出来ません。一方でクライアントは多額のコストを投じてまで最新の技術を導入しようとは思いません。そのため、仕事の中で最新の技術を体験しながら学ぶ機会はなかなかありません。
ビジネススキル
ビジネスモデルの構築、営業、経営、P/L管理、プレゼン、社内政治、ファシリテーション
事業会社のWebディレクター:★★★☆☆
制作会社のWebディレクター:★☆☆☆☆
(フルスタックエンジニア :☆☆☆☆☆)・・・比較対象
(デザイナー :☆☆☆☆☆)・・・比較対象
ここまで出来る人は限られます。またWebディレクターとしてもかなり成熟しておりプロデューサーだったりWebディレクター管理のポジションだったりレイヤーが変わっていることも多いです。
事業会社のWebディレクターはこの中でもビジネスモデルの構築、社内政治、プレゼン、ファシリテーションに強いです。ただ、営業側が持つような営業、P/L管理などには弱く協力して進めるのが基本です。
制作会社のWebディレクターはここまで出来る人は数人しかみたことがありません。基本的に制作会社のWebディレクターはここまでの責任を負わないので任されることがありません。事業会社のWebディレクターより優れているのはプレゼン能力です。
まとめ
如何でしたでしょうか。Webディレクターは何でも屋だったりスキルがないと言われる所以がみえたんじゃないでしょうか笑
確かに表面的に分かりやすいスキルを持ち合わせていないことは多いです。しかし、実際に深ぼってみると内面的なスキルは高かったり各スキルを満遍なく持ち合わせています。それが活きて仕事になっています。
事業会社のWebディレクター、制作会社のWebディレクターという点では全体的に事業会社のWebディレクターの方は優れている傾向にあります。これは自分が事業会社のWebディレクターだからというわけではなく事実そうであり実際の会社でもそのようなケースが多いです。ただ、どちらにも良いとこがあるので好み次第とも言えます。
良い感じに比較できたかな。どうですか?でわわわわわ!!
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